ダンプカー5500台分の雪捨場
屋根の雪下ろし、雪運び、雪はカネを食う魔物?(1月12日・木)
| 大曲橋上流の雪捨場は広大な雪の山。 | ダンプカーが次々と入って雪を吐き出す。 |
雪との格闘は続いている。大仙市大曲地域─。ここでは大曲橋(通称・金谷橋)上流右岸と藤木下橋の河川敷を国交省湯沢河川国道事務所から借りて雪捨場としている。12日朝、大曲橋上流の雪捨場を訪れた。
雪を積んだ大型ダンプカーが橋の手前の県道から堤防上まで数珠つなぎとなって待機している。そのダンプカーに混じって4トン車、2トン車も雪を積んで列をなして雪捨ての順番を待っている。
大曲橋の歩道を渡って眺めると広大な雪の山ができ上がっている。そして2台の除雪車が轟音を上げて、ダンプカーの荷台から吐き出された雪の山を崩し、均している。歩道から移動し、雪捨場に入った。まるで運動場のような広さとなっていた。雪を積んだダンプカーが次々と入ってきては荷台から雪を吐き出す。わずか5〜6分の滞在だったが、その間に数えられたダンプカーは50台を軽く超えた。
大曲総合支所土木課によると雪捨場として国交省から借りた面積は7418平方メートルで、雪を積み上げられる高さは堤防の高さまでの7.5メートル。計算すると5万5635立方メートルとなる。大型ダンプカーで約5500台分だ。
それほどの雪を運べるスペースだが、もう満杯の状態という。このため国交省と相談して新たな雪捨場の確保も検討している。ここに運べるのは一般住宅の屋根から下ろした雪や市役所、学校など公的施設の駐車場、さらに道路の除排雪したものだけでスーパーやパチンコ店などの駐車場の雪はその除雪を請け負っている業者がそれぞれの責任で処分することになっている。
それにしても雪は「カネ」食う。大曲除雪ステーションにはロータリー車や除雪ドーザー、グレーダー、歩道用ロータリー車など13台の除雪機械がある。これらの重機の燃料は軽油だが、1台動くと1日でドラム缶1本(200リットル)ほど使うから、全部出動すると1回で590万円ほど掛かると試算されている。除雪車の一斉出動は普通、1シーズン35回平均だが、今冬は大曲地域で22回も出動。ざっと計算しても1億2980万円が消えたことになる。
さらに道路の雪の壁を取り除き、雪捨場に運ぶ作業、そして体育館や武道館、車庫、図書館など市の施設の雪下ろしも加わる。業者に委託して行った道路の除排雪に掛かった経費は大曲総合支所だけで約1億4000万円。同支所では6日から12日にかけて体育館などの雪下ろしもした。建物が大きいだけに人手もかかり、体育館や武道館は6人がかりの作業。雪下ろしの賃金は平均1人1万5000円と言われているから、6人なら9万円。日曜日を除く6日間かけてそれらの雪下ろしをしたというから、それだけでも50万円以上は掛かったと見ていい。
大仙市の除雪予算は当初で6億4200万円を計上していたが、今冬の豪雪でその3分の2を使い果たした(市建設部)というのもうなずける。このため同市では新たに4億円を超える予算を計上し、19日招集する臨時議会に議案提出する。
この豪雪である程度助かっているのは建設業界。ダンプカーが連日、フル稼働しているからだ。大型ダンプが雪を運ぶ1日の運賃は消費税を含めて4万5000円。仕事のない冬場は大型ダンプカーの運転手も雇用保険で暮らすが、今冬は雪のおかげで仕事につながっている。ただ経営者側から見れば「燃料は上がっており、大きな収益は期待できないがまあ、仕事がある分、助かっている」と話す。
一方の住宅業。市内の住宅会社では「例年、12月から3月までは大工さんも仕事がなく、その間は雇用保険で暮らしているが、今年は屋根の雪下ろし依頼が殺到、結局、大工さんにはそのまま働いてもらって雪下ろしをしてもらっている」と話す。ただ、雪下ろしの労賃はそのまま大工の手取りとしているため、会社にとって雪下ろしの斡旋はほとんどボランティアという。同社では12月20日過ぎからこれまで100件を超える雪下ろしをし、さらに30件が待機中という。「大工さんたちも毎日であり、本職以上に重労働であり、疲れきってます」と気の毒そうな顔を浮かべた。
一方、屋根の雪下ろしを業者に依頼する住宅にとってこの豪雪の出費は痛い。屋根の雪下ろしは普通、2人から3人で行うだけに、3人だと1回で4万5000円。さらに商店街のように密集地だと雪の捨て場もなく、トラックで運ぶことになる。2トン積みのトラックを使うと平均2万5000円が相場というから、1回で7万円の出費だ。
ましてや年金で暮らす高齢者にとって屋根の雪下ろしにかかる出費は深刻だ。「雪はもうたくさん」。毎日の雪寄せ、雪運びでヘトヘトに疲れきった住民からの雪への恨み節も次第に高まってきた。