県南唯一の常設映画館

大仙市大曲の月岡シネマ

惜しまれながらも10月に閉館へ(7月21日・金)
 
 10月9日で閉館する月岡シネマ1と2。   昭和30年代は多くの映画ファンが自転車で駆けつけたものだった(月岡シネマ提供)。

    県南唯一の常設映画館である大仙市大曲通町(花火通り商店街)の「月岡シネマ1」と「月岡シネマ2」を経営する合資会社・月岡映画劇場=築地真吾社長(59)=が、10月9日で〃閉館〃することになった。築地社長は20日、「シネコン(シネマコンプレックス)に負けないよう話題作を取り入れ、全力で対抗してきたが、そろそろ卒業すべきでないかと熟慮の末、決断した。閉館まで後3カ月弱だが、悔いを残さないよう前向きの気持ちでさわやかに幕を閉じたい」と話した。閉館の情報に同劇場には「なぜ止めるのか」と映画ファンから連日のように惜しむ声や励ましの電話が寄せられているという。

  同劇場は1946年(昭和21年)ごろ、築地社長の父・武四郎さん(故人)が「大曲映画劇場」として開館。その後、「月岡劇場」「日本劇場」「大曲東映劇場」の3館一体の施設に拡大し、経営していた。席数も450から600席もあった。そして1983年(昭和58年)の大曲駅前土地区画整理事業に伴い映画館を大幅に改装、現在のシネマ1(150席)、シネマ2(350席)の2館とし、一部を駐車場とした。同時に映写機も自動化、ボタン一つで幕が開き、映写されるよう合理化した。

  築地社長は1989年(平成元年)から経営を引き継いだ。劇場は小さくなったが1997年(平成9年)、宮崎駿監督作品の「もののけ姫」や01年(平成13年)の「千と千尋の神隠し」の大ヒットで客足は戻り、過去の記録を盛り返すほど賑わった。

  しかし、秋田市のイオンショッピングセンターにシネコンがオープンしてからは、客足は流れ、観客数は減少。それに少子化やレジャーの多様化などで売り上げは落ちた。築地社長は「現在、スクリーン数は全国で3000を超え、映画界は華々しいが、買い物や食事も楽しめ、その足で映画を観られるシネコンに客が流れ、単独の映画館はどこも経営は四苦八苦の状態」と言う。築地社長自身も横手市での移動映写会や特別観賞会を開くなど手を尽くしたが、流れは変えられなかった。

  それでも「これだけの人口のまちでここまで映画をやってこれたのは、映画関係者の協力と映画を好きな地元ファンのおかげ。感謝したい。亡くなったオヤジも閉館には理解してくれると思う」と話す。

  そして今月29日からは宮崎駿監督の長男・宮崎吾朗さんの第1回監督作品で、同市出身の男鹿和雄さんが背景を手がけた「ゲド戦記」、さらに9月16日からは話題作「日本沈没」を閉館まで上映し、幕を閉じる。

  月岡映画館と言えば団塊の世代には「ウエストサイドストーリー」で、青春のエネルギーを燃やし、巨大な人食いサメを扱った「ジョーズ」で恐怖に震わせ、子どもたちにもアニメーション映画で多くの夢を与えてきた。「大曲には映画館がある」が〃大曲っ子〃の自慢だった。それだけに惜しむ声も多く、「映画のパンフレットを買い求め、月岡のスタンプがあったら押してくれというお客さんも来ます」と築地さんは少し寂しい笑顔を見せた。会社は駐車場の管理もあってそのまま継続する。