大仙市協和の山林
農林家、現場視察の市長らに助成を陳情(7月26日・水)
| 栗林市長らを迎え倒木被害を説明する農林家の人たち。 | 無数に倒れた杉の木の惨状。 |
山の斜面に無数の杉の木が倒れていた。伐採するため、チェンソーで切り倒したのではない。この冬の豪雪で、雪の重みに耐えきれなかった杉が、バタバタと倒れたのだ。25日、大仙市協和荒川の山林で倒木被害現場視察のため、栗林次美市長らを迎えた農林家の人たちは「50年も手を掛けて育ててきた杉が、こんなにももろかったとは……」と声を落とし、「手を掛けた結果がこの惨状かと思うと情けない。山への経営意欲を失ってしまう」と話した。
市長の現場視察は協和総合支所を通じての農林家からの陳情で実現した。市からは栗林市長と金正行農林商工部長、今浩造支所長、安田正一同支所農林振興課長らが同行し、板井沢の山林で地元の農林家や西森林組合職員ら20人と合流した。
そして農林家の人たちが運転する軽トラックを先導に山林奥に案内。林道を2キロほど進んだ山奥に入ると、左右の斜面に広がる広大な杉林の中に無数の倒木があった。杉の木がこんなにも簡単に倒れるのかと驚くほどの惨状だった。
農家の人たちに「いったい何本ぐらいの倒木なんですか」と尋ねたら、「数えきれるような本数じゃない」との声が返ってきた。植林して30年から50年、70年、80年の木々が屍(しかばね)となって倒れていた。
協和総合支所の調査では人工林約5244ヘクタールのうち、24%が被害地域と見込まれ、幹折れや幹曲がり、根抜けなどの実被害率は14%で約179ヘクタール、蓄積量は5万284立法メートルという。
倒れた木だけでなく、立ったまま雪の重みで股裂き状態の木もあった。同市での今冬の最大積雪深は2月に175センチを記録したが、協和総合支所では「山の中の積雪は2メートルを超えたと思います。おそらく1月4日から10日前後にかけて降った〃どか雪〃の重みで倒れたのでしょう」と推測する。
農林家の人たちは付きっ切りで栗林市長らを案内。「倒れても使えるものもあるが、裂け目の入った木は建築資材としての価値はゼロなんです」と強調していた。倒木は森林保険の対象にはなるが、それを搬出するための作業道の整備などは対象にならない。
山林の多い協和地域は稲作に次いで林業が大きな産業となっている。総合支所によると同地域の山林面積は約1万9325ヘクタール。そのうち民有林が約1万2128ヘクタールで、残りは国有林。林業農家は1248戸もあるという。
市長らを案内した荒川の進藤聆爾さん(70)は「米価は下がり、木材も価格が低迷、その上、手間隙(てまひま)かけて育てた杉の木が金にもならないでは」と失望感を隠せなかった。植林から下刈りし、さらに光りを当てるため除間伐を30年も繰り返し、育てた木だけに愛着も深い。
西森林組合では倒木した蓄積量5万284立方メートルのうち、半分くらいは木材として使えると見ても、被害額は2000万円前後になると試算する。ただ、木材として使えても需要に応じて計画的に伐採したのとは違って、無造作に倒れたため、搬出のための作業道の整備などにかかる経費や危険度を考えると「捨てた方がましと思うかもしれない」と同情する。
市長らを案内した農林家の人たちは「何とか搬出作業への助成と幹線林道を結ぶ作業道の整備を今後も継続してお願いしたい」と訴えていた。