一般質問2日目、5人が登壇
危機的財政状況に監査委員が警鐘(3月8日・水)
大仙市の2月定例議会は8日も一般質問を継続、佐藤孝次(大曲・新生会)、佐藤文子(同・共産党)、大野忠夫(神岡・新生会)、佐々木洋一(中仙・同)、本間輝男(仙北・同)の5議員が質問を行った。同市が目玉とする「子育て支援事業」の小学校卒業までの「医療費扶助制度」や2歳未満児への「すこやか子育て手当金支給事業」への所得制限導入の撤回を求めた佐藤文子議員に対して栗林市長は「現制度のまま継続することは市財政に対する負担が大きいため、制度を継続させるため所得制限を導入した」と答えたが、再質問にも「財政状況が悪くなったからと言ってこの制度を止めるわけには行かない。10年、20年継続して初めて効果が出てくるものであり、これを継続していくため、所得制限を設けた」と子育て支援事業継続への強いこだわりを見せた。一方、田牧貞夫代表監査委員は同市の危機的財政状況へ見解を求められ、「財政状況がいかに厳しいかという職員の意識感覚が薄いのではないか」との警鐘を鳴らした。主な一般質問に対する市当局の答弁は次の通り。
◇行政が農産物マーケティングシステムを構築し、推進することは農業の将来にとって有効な施策と思うが市長の見解は=地場産農産物の売り込みと農業所得の向上は、産地間競争が激化する中で必要だ。しかし、「新たな経営安定対策」への取り組みが現段階では喫緊の課題であり、当面はこの対策に全力傾注し、マーケティングはJA秋田おばこと連携しながら調査・研究したい。
◇(仮称)大曲南外学校給食センターでの食教育への取り組みについて=具体的な施策としては児童・生徒及び保護者の調理現場見学や夏休みを利用した「親子料理教室」の開催、学校栄養士と教員との協力による食事と健康についての学習、農業体験学習などを予定している。
また食教育の拠点としてセンターが果たす機能については、学習や見学スペースなどの空間を充実させ、郷土料理や食文化、地産地消についても学べる地域に開かれた食育拠点を目指したい。さらに環境問題についても生ゴミを発酵させ、学校花壇や農園に土壌改良として還元するなど多面的な学習素材を盛り込んだ機能を発揮できるセンターとしたい。
◇学校給食センター建設にあたって住民参加の意味を込めたミニ市場公募地方債の取り扱いについて=ミニ公募債の発行は大仙市としてもまた県内市町村でも初めての試みで、市の財政力や地域の購買力、人口規模などから3億円程度の発行規模とした。発行に際しては国や県からの指導を受け、今後、市内金融機関とも協議を重ね、具体的な取り扱いと手続きを定めたい。
◇秋田わか杉国体の受け入れ体制について=会場の一部となる大曲武道館や仙北球場の外壁、トイレなどの改修工事や自転車競技ロードレース特設会場の亀裂や破損個所は部分補修を行う予定であり、今年のリハーサル大会を通じて、施設・大会運営を入念にチェックし、本番までに万全を期したい。
選手団、観客の受け入れともてなしの心の醸成は花いっぱい運動やリハーサル大会での選手・来場者の接伴や交流テントでの歓迎、市民による私設応援団の組織化などを計画しており、多くの市民に参加してもらいながらその心の醸成を図りたい。
◇除雪対策について=今冬は記録的な豪雪で本庁道路課を中心に各総合支所との連携を深め、市民生活並びに経済活動に支障がないよう除雪パトロールを強化し、初期交通の確保や歩道除雪、市街地の集中的な排雪など予算の確保も含め、早め早めの取り組みに努めた。そしてこの教訓を参考に旧市町村の枠を越えた効率的な除雪体系の見直し、除雪機械の再配置による効率化、直営除雪と委託除雪の見直し、消雪や流雪施設の現状把握とマップ化など全市的視野から再検討し、今後の除排雪体制の確立を図りたい。
◇国民保護計画策定と国民保護協議会委員の人選について=国民保護法では万が一武力攻撃やテロなど不測の事態が発生した場合、国・県、市町村はそれぞれ役割分担し、国民の生命、身体及び財産の安全を確保する責務を規定し、市町村は計画の作成と協議会の設置を義務づけられている。市町村が作成する計画は軍事行動を目的とした動員計画ではなく、避難や救援、災害の復旧に関する措置を定めるものだ。
また協議会委員は国民保護法の規定するところに従い、市助役、市職員のほか当市の地域を管轄する指定行政機関の職員、都道府県の職員、指定地方公共機関の役職員の中から計画で定める措置に関し識見を有すると思われる者を任命したいと考えている。計画の策定に当たっては素案、原案の作成段階で市のホームページや地域協議会を通じて広く意見を求めたい。
◇障害者自立支援法の実施と市の対応について=基本的には障害のある人も福祉サービス利用の一部を負担してもらい、制度を支える一員になってもらうことで国民的な理解も得やすいと意図したものと思っている。制度の安定性や持続性の観点から、障害者自立支援法に限らず、年金や介護保険、医療保険制度といった社会保障制度全体を通じたものと理解している。
次にこの制度改正での利用者に及ぼす影響だが、3月1日現在での市内の利用者は施設入所者221人、居宅サービス利用者84人、小規模作業所への通所者100人の合わせて405人となっている。このうち利用者負担は現在無料の方が施設入所者221人のうち10人、居宅サービス利用者84人のうち53人、通所サービス利用者100人のうち59人の合わせて122人となっており、自己負担額のある方は283人で、その範囲は月額300円から最高9万700円までとなっている。
今後、障害者自立支援法へ移行した場合の利用者負担額は生活保護世帯を含む一部利用者は無料となるが、その他の低所得世帯へは一定の配慮がなされ、一般世帯でも上限3万7200円と定められている。また負担額については、世帯の住民課税状況などで決定するため、同じ世帯に障害者福祉サービスを利用する人が複数いる場合でも、合計額が1人の負担上限額を超えた分は、高額障害福祉サービス費が支給されるなど負担が重くならないよう配慮されている。
◇住民と協働のまちづくりを提唱しているが、市長として住民要求の集約にどのような手段を講じているか=議会との連携を密にすると同時に旧市町村ごとに設置した「地域協議会」での意見や提言、さらに私自身が各総合支所に出向き、直接、市民と話し合う市長面会日を設定するなど積極的に地域の要望を伺う機会を設けている。
◇通園、通学バスの安全対策について=教育委員会では現在、17台のスクールバスを運行している。うち12台を市職員が、業務委託は5台となっている。幼稚園に付いては大曲地区の2園を除いた6園の園児が利用し、常時教職員がバスに添乗し、安全確保に努めている。また乗降場所までは家族が送迎している。小・中学生については6小学校3中学校の児童生徒が利用し、教職員が添乗したり、利用する子どもたちが安全マナーに関する話し合いをしている。また最近の社会情勢から、自宅前での乗降を認めたり、「子ども安全見守り隊」に乗降場所の巡視をお願いするなど安全対策を進めている。
◇大仙市の危機的財政状況を監査委員はどう捉えているのか=平成17年度の監査の主眼となったのは経常収支比率の異常に高い要因はどこにあるかだった。経常収支比率とは市税及び普通交付税などの一般財源が人件費、公債費のほか、施設の維持管理費などの経常経費にいくら充当されたかの指標で、平成16年度決算では98.4%だった。この比率は例えば1億円の一般財源だとすると、政策経費に160万円しか充当できないことになる。
定期監査の結果、その経常収支比率を押し上げている主な要因の第1点は人件費の総額が94億6800万円で、経常収支比率の分母となる市税がこれより20億円あまり下回り、人件費をカバーできない構造になっている。第2点目は介護報酬で運営すべき峰山荘や福寿荘などの老人福祉施設介護サービス事業、さらに八乙女荘、幸寿園及び老人デイサービス事業などの収益的収支が、すべての施設で営業損失として予算措置されている異常な状態となっていることだ。各施設は営業損失となる原因を早急に改善し、安易に一般財源に頼ることのないよう特段の努力を図られたい。
第3点目は11の公立保育所の運営にも多額の一般財源が充当されている。この原因は国が示す徴収基準額より低い保育料で徴収されていること、さらに保育所運営経費が支弁額より高い経費で運営されていることにある。4点目は教育関係の施設及び農業関係の施設が非常に多く設置され、その維持管理に多額の費用が充当され、使用料収入がゼロという施設が大半となっており、改善が必要だ。
5点目は補助金の交付で、慣例で交付されているケース、奨励的補助金、補助団体の運営費的補助金が散見される。6点目は簡易水道、特定環境保全公共下水道事業、特定地域生活排水処理事業、農業集落排水事業などの下水道事業の使用料が各下水道の維持管理費に対応すべく使用料収入となっておらず、多額の一般会計からの繰入となっている。7点目は市税及び保育料、温泉使用料、市営住宅使用料、給食費納付金などの税外収入、さらに下水道使用料などに多額の未収金が生じており、財政運営に大きく影響している。
代表監査委員としてこの度の定期監査を通じて感じたことは、職員が今の財政状況がいかに厳しいかという意識感覚が薄いのではないかということだ。経常収支比率が今後も90%以上で推移すると、地方債の借入にも影響してくる。本庁、各総合支所及び各施設のすべての職員の意識改革について徹底を図ってもらいたい。