大仙市=女性講談師の宝井さん
山内一豊は女性共同参画を実践した(3月12日・日)
| 意見発表する佐藤さん。 | 女性初の講談師となった宝井さん。 |
男も女もお互いの人権を尊重し、共に生きやすい社会を目指そうと大仙市男女共同参画講演会が11日、大曲公民館で開かれた。横手市出身の講談師・宝井琴桜(きんおう)さんの話が聞けるとあって200人近い市民が詰めかけた。
始めに栗林次美市長は「少子高齢化の進展や経済活動の成熟化など、社会経済情勢の急速な変化に対応していくためには、女性と男性が互いに人格を尊重し、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を目指さなければならない」と訴え、市としても「男女参画プラン」を策定したと力を入れた。
そして羽後町在住で「あきたF・F推進員」の佐藤万里子さんが「男女共同参画で地域の元気を取り戻そう」と意見発表。佐藤さんは「来年は2007年問題を迎え、団塊世代の人たちが大勢、定年退職する。今まで仕事一筋だったお父さんたち大変、ご苦労さまでしたとさぞ奥さまたちはお喜びのことと思います。いいえ。長年の夫婦の会話不足が積もり、積もって妻たちの〃夫在宅ストレス症候群〃が始まるとも聞いてます」と家庭より、地域のことより、仕事を優先させてきた男たちが退職後、家庭と地域とどう向き合えるのかと問題提起。
佐藤さんは「男は小さい時から男だから泣いてはだめ、弱音を吐いてはだめ、男は女をリードする存在、一家の大黒柱だと仕事一筋に生き、最後は妻に看取られて逝くものだと都合よく考えていた。しかし、高齢化社会。男が後に残る場合もある。だから男のメンツにこだわったり、人に助けを求めず一人で頑張ろうとせず、男役割、女役割を分担して、人としてどう生きるかを考えるととても気が楽になる。男か女かというより人として生きやすい社会こそ男女共同参画社会ではないか」と呼びかけた。
続いて宝井さんの「女もいきいき男もいきいき」と題した講談が始まった。宝井さんは1969年に5代目・宝井馬琴門下となり、講談師として修業、75年に女性初の真打ちへと昇進した。サクラの花びら模様をあしらった和服に小豆色の袴姿で登場した宝井さんは「釈台」を前に座ると〃張り扇〃と〃扇子〃で台をポンポンと小気味よく叩き、「講談は500年の伝統があって、男の世界だった。だから講談師を目指そうとした時、『女の子に出来るわけがない。止めなさい』と言われた。38年前だった。それが悔しかった。やりもしない前から邪険にされたら男だって悔しいはず。この仕事、この作業がその人に向いてるとか向いてないかは性別で決めるのではなく、やってみることだ」と性別で仕事を区別すべきでないと訴えた。今では講談師の50%が女性だという。
そして宝井さんは現在、NHKの大河ドラマで放映されている「功名が辻」の山内一豊を取り上げ、秀吉没後、石田三成が挙兵した時に徳川家康を支持しなさいと手紙で進言したのは妻であり、妻の情報収集力があったからだと妻の功績を紹介。「女房が戦のことに口出しするな。女の癖に出しゃばるなと、妻の情報を切り捨てたら山内家はどうなっていたか。一豊は『なるほどなるほど千代のやつ良く調べてくれた』と妻を司令塔として受け入れた。その一豊の人間性、妻と二人三脚を組み、お互い力を合わせて難所を乗り越えようとした今で言う〃男女共同参画〃があった」と語った。
釈台を張り扇と扇子でポンポンと叩き、全国各地を飛び回って聞いたエピソードも織り交ぜ、次々と話題を提供。言葉が水のように流れ、リズム感豊かに語る宝井さんの名調子に会場は静まり返り、約90分の伝統芸能に酔いしれた。