大仙市のイベント・リレー第3弾

サケをテーマにシンポジウム

サケは海のエネルギーを貯えて遡上(11月20日・月)

  大仙市の自主団体と地域住民、行政が連携して企画したイベント・リレー「雄物川のサケ」の第3弾「サケ・今とこれから」と題したシンポジウムが18日、大曲仙北広域交流センターで開かれた。会場には約200人が詰めかけ、鹿児島大学名誉教授の松田恵明氏の「食卓のサケはどこから」、日本魚類学会自然保護委員の杉山秀樹氏の「雄物川のサケは今」と題した講演を聴いた。

  実行委員会長の栗林次美市長は「大曲地域のサケふ化放流事業は、明治28年に県の事業として始まって以来、内陸の地、大曲で海の水産資源確保のため、110年の歴史を刻んできた。そのサケにまつわる地域の歴史や文化、恵みをもたらした自然環境を未来を担う子どもたちに残していかなければならない」と趣旨を述べた。

  講師の松田氏は漁業経済を専攻に「環境問題をリードする水産業─海の森づくりの視点から─」などの著書があり、杉山氏は県水産振興センター管理室長として魚類学を専攻に「クニマス百科」「オオクチバス駆除最前線」などの著書がある。

  サケは川で生まれ、北の海で成長し、産卵のため再び生まれた川へと戻ってくる。2人はそうしたサケの種類や生態、そして雄物川に遡上してくるサクラマスや田沢湖でかつて生息したクニマスなどを話題に語った。

  その中でも10月に雄物川に遡上してきたサケは、ふ化されて川に放流すると4〜5年後、再び10月に戻り、11月に遡上してきたサケも戻ってくるのは11月だというサケの持っている不思議な記憶力に聴衆は驚いていた。しかも、重さ1グラムのサケの子は海で成長し、戻ってくる時は4000倍の4000グラムになって帰ってきており、海のエネルギーを山へと運んでくる貴重な魚だとも強調。そして海のエネルギーを貯えたまま、産卵と受精を終えたサケはその生涯を閉ざし、死骸が岸部に打ち上げれると、山に生息しているタヌキやキツネなどの小動物がそれを餌にし、その栄養が森の資源となって森を豊かにしているという興味深い話しもあった。

  雄物川のサケ・今とこれからをテーマにしたパネルディスカッションでは秋田大学教育文化学部講師のヨハネス・春水・ウィルヘルム氏をコーディネーターに雄物川鮭増殖漁業生産組合副組合長の三浦尚氏、花館地域いきいきビジョン策定事業会議副会長の沢屋隆世氏、大曲地域協議会委員の加賀谷早苗氏、秋田大学教育文化学部助教授の篠原秀一氏、そして松田氏、杉山氏をパネリストに話し合いが行われた。

  パネラーからは「地産地消の大事なことは作っている人の顔が見えることだ」、「単なるサケでなく、雄物川のサケだと思うことで価値観も違ってくる」、「誰がどうやって作って、どんな歴史や文化を持っている食べ物なのかを知ることも大事だ」、「漁業組合もかつては利益を求めるための組織だったが、今は河川環境保護のための組織へと変遷しており、これからは雄物川のサケ漁を子どもたちにどう伝えていくかが課題だ」、「子どものころはサケ料理を当たり前のように親しんだが、今の人たちはその料理の仕方も、サケのさばき方も知らない。サケ料理の仕方も教えるべきだ」など声があった。