大仙市太田で公開講座
学長らが「公益のまちづくり」を語る(9月7日・木)
大仙市太田総合支所では6日、太田地域づくり研修会として「第1回東北公益文科大学公開講座」を太田文化プラザで開いた。これからの地域づくりは、行政主導の画一的なものでなく、個性的で魅力あるものとするためには住民、企業、行政、ボランティア団体など地域のすべての構成員が連携し、自主、自立の精神で自らの地域を経営していく自治意識の醸成が必要だと太田地域協議会、自治組織連絡協議会と共催で企画した。東北公益文科大学は山形県酒田市にあり、学生と地域が協働して「大学まちづくり」を進めており、「市民との協働のまちづくり」を目指す大仙市とも通じるものがあるとして、同大学に公開講座の開催を依頼した。
太田地域協議会は7月17日に同大学で「公益」をテーマに研修会を開いて、小松隆二学長の講話を受けた後、県南出身の学生と懇談している。
講座には各地域協議会のメンバーや地域住民、市職員ら約250人が出席。栗林次美市長は「大学を市民に開放し、地域と一緒にまちづくりを進めているという公益文科大学の基本的な考え方に私も深い感銘を受けている。これから私どもの地域づくりのため様々な助言、ご指導をお願いしたい」と講師として出席した小松隆二学長、伊藤眞知子教授、県南出身の学生として出席した進藤佳子さん(協和)と杉山賢也君(横手市雄物川町)に礼を述べた。
講座では小松学長が「公益のまちづくり」と題して、伊藤教授は「まちづくりと男女共同参画」と題して講演。
小松学長は「大学の近くに大曲出身の政治家・榊田清兵衛(1864年〜1929年)の石碑があるなど山形県庄内地方と大仙市とは古いつながりがある」と榊田翁の庄内地方での功績をまず紹介。榊田翁は大地主の息子として旧大曲町に生まれ、県会議員として農事試験場(現・東北農業研究センター)の設置、奥羽線の全線開通、大曲農業高校の前身である大曲農学校の設置などに尽力、衆院議員となってからも盛曲線(現田沢湖線)の敷設に奔走するなど大きな功績を残している。
小松学長は「大正6年ごろ、庄内地域を流れている川の氾濫を何とかしなければいけないと河川改修を国に陳情したら、田んぼをつぶして改修をやるとなって村民はこぞって反対した。その時に山形県出身でもない榊田さんが村民の希望通り、山を削って川を流すという方法で内務省の承諾を取ってくれた。村民は自分たちのために命を懸けてくれたと榊田さんの恩に応えたいとりっぱな石碑を建てた」と話した。そして仙北の旧地主の池田家と酒田の地主・本間家とのつながりなども紹介した。
その上で「まちづくり」について「まちづくりは自分たちの暮らしを見直していこうと言うことから始まった。日本はこれまで経済一流、企業一流、しかし、生活は三流と言われてきた。日本人は給料もいいし、生活も世界一だと思うかもしれない。しかし、企業経済の発展に比べ本当にそうだろうか。給料はまあまあだが、贅沢は出来ない。しかも、その給料も今は頭打ちの状態。それに年金を含めた社会保障や福祉は後退気味だ。こうしたことを考えると私たちの生活、本当は良くないのではないかと見直すようになってきた。その上、日本は高級住宅街でも欧米人から観たら汚いと思われるようなまちづくりをしてきた。電線、電柱、看板、テレビのアンテナだらけだ。欧米人から観たら落ち着いて散歩したくなるような住宅街でない。こう言うことで経済や企業は一流だが、国民の暮らしはどうもおかしいと疑問を持つようになった」と分析。
そして「日本人はこれまで競争、競争で来ており、自分のこと、自分の家族のことで精いっぱいだった。自分を超えること、家族を超えることを忘れ、まち全体、通り全体を見ることを忘れていた。業者も行政もまちづくりをしてきたが、本物のまちづくりではなかった。あったのは持ち家造り、自分の家を造るだけで、通りが電柱だらけ、看板だらけ、吸いがらだらけでも気にしなかった」と述べ、「市町村合併を契機に町づくりは道路を造ったり、スポーツセンターを造ったりだけではない。みんなで手を結んで安全、安心な暮らしをできるようにするには自分を超え、家族を超え、みんなのこと、まち全体を考えることが大事だということに気づいてきた」と公益の精神を語った。
そして情報公開条例や街並み景観条例を作っている山形県金山町のまちづくりを紹介しながら「まちづくりはまちの良さを見直そうということだ。ハコモノづくりだけでなく、住民みんなで考え、古いものを見直し、まちづくりの目標をみんなで確認し、全員が参加することだ。共稼ぎで参加できないという人もあるが、まちづくりの第一歩はタバコのポイ捨てを止める、見たら拾う。これが第一歩だ」と強調。さらに「歴史、文化、自然環境を生かし、予算がないから出来ないという発想は捨て、ボランティアで花づくりをしていく。みんなで清掃していく。やれるところからやっていこうという意識が大切だ」と訴えた。
続いて伊藤教授は「男女共同参画は、ただ女性が参加するのではなく、自ら発言し、主体的に関わっていくことだ」と述べ、「まちづくりの要は信頼関係を築くことであり、住民はお上の言うことを聞いていればいいのではなく、行政と対等な関係でモノを言い合える仲であるべきだ」と強調。そして「全ての人に暮らしやすいまちづくりを考えるのは難しいかもしれないが、介護が必要な人にも暮らしやすいまちにするため、相手の人権を尊重し、大きな声だけでなく、小さな声も組み上げ、ヒューマンサービスのあり方を考えよう」と訴えた。
最後は進藤さんと杉山君も登場。大学で環境の問題を学んでいるという進藤さんは将来は水質を調査する仕事に関わりたいと述べ、杉山君は「社会福祉士の資格を取得し、介護のケアマネージャーとなって地元のお年寄りの力になりたい」と夢を語った。
同大の第2回目の公開講座は、10月26日午後1時半から文化プラザで開かれる。平松緑教授が「老化と生活習慣病の原因とその予防」と題して、三原容子教授は「自分も大切にする社会をつくるために」と題して講演する。入場は無料。問い合わせは太田総合支所地域振興課(0187・88・1112)。