日本社会薬学会でSP賞に輝く
共同研究「自殺予防への薬局の果たせる役割」(9月22日・金)
| 学会報告後、ポスターを活用して、個別に時間をかけて詳細の解説をしている畠中さん(右端)。 |
大仙市角間川町、薬局「すばる」の薬剤師・畠中岳(たかし)さん(38)は、今月17日と18日に徳島文理大学で開かれた日本社会薬学会で「自殺予防ネットワークにおいて薬局が果たせる役割(第二報)」を報告、同学会のSP賞(ソーシャル・ファーマシー賞)を受賞した。報告は筑波大学院人間総合科学研究科の奥野純子講師(薬学博士)と、昭和薬科大学医薬情報評価教育研究室の串田一樹講師(医学博士)との共同研究で、畠中さんは「県仙北地域振興局福祉環境部からの協力を得ながらの地道なネットワーク活動だったが、評価されて嬉しい。私個人より、地域全体で受賞したものです」と喜んでいる。
今回の学会での発表は、わが国の自殺者は1998年に3万人を超え、交通事故の死者数の3倍以上に増加。しかも、秋田県の自殺率は95年から全国第一位の状態が続いているとした社会問題を背景に、地域医療・介護・福祉などにおける薬局機能や薬剤師の役割について発表したもの。
発表では90年から05年までの秋田県と全国の自殺者の統計から、40歳未満へと若年化の傾向にあると指摘。そのうえで本県の自殺者数は交通事故死亡者数の6倍であり、その主な原因は経済生活苦と病苦で、50代の自殺が最も多く、性別では男性が女性に比べ2.5倍にもなっているとした。
そして99年から05年までの本県の自殺動機の推移データから、精神障害による自殺が著しく増加し、病苦は減少傾向にあると分析。その上で畠中さんは、公的な自殺予防ネットワーク推進会議に参画し、勤務している薬局の立場から自殺防止に貢献できたらと、サポートを視野に入れて関わり、現実に自殺を防止することができた実例を挙げて報告。
その活動から「かかりつけ薬局」として▽生活者の身近にある医薬品や殺虫剤、農薬、漂白剤など化学物質への注意の喚起▽インターネット販売や通信販売という落とし穴への滑落防止▽青少年の健全育成への貢献などを「新しい薬局機能」として提案。そして薬局は地域住民に身近な窓口として、自殺企図者の早期発見や自殺を未然に防ぐため、関連機関への紹介や仲介する役割が期待されているとしている。
畠中さんは秋田県のAターン事業を通じて、96年8月に神奈川県川崎市の病院から薬局「すばる」の薬剤師として角間川町に移り住んだ。「大病院というシステムの中に詰め込まれた医療をやるより、田舎で直接、患者さんとふれ合い、病気の回復の手伝いをしたかった」と畠中さんは語る。そして、夢は医師と看護師、薬剤師がチームを組んで1人では通院出来ないお年寄りを訪ね、診療する「在宅医療活動」だった。その夢は薬局の近くで開業している伊藤内科医院の伊藤良医師の理想とも一致し、実現した。畠中さんは伊藤医師と看護師との在宅医療訪問に同行し、薬剤師の立場から患者への薬の効果のチェックや薬の組み合わせ、種類の変更などを助言している。
「常に患者さんの立場に立った薬局でありたい」と語る畠中さんは、常に笑顔を絶やさず、親切で誠実な対応は多くの患者に親しまれている。
畠中さんに関する過去の本紙の記事は下記から。