県議選大仙市仙北郡選挙区

定数5を巡って10人の戦い

各陣営、終盤戦に向かって必死の戦い(4月4日・水)

  先月30日に告示された県議選もいよいよ終盤戦だ。定数5議席を巡ってその倍の10人が立候補した大仙市・仙北郡(美郷町)選挙区では選挙カーが東奔西走し、必死で支持を訴えている。同選挙区の有権者数は3月2日現在で、男性4万5803人、女性5万2442人の計9万8245人。選挙運動は7日で終わり、8日に投開票が行われる。仮に80%の投票率だとすると10人で、7万8596票となる。この数字から見ても、当落のボーダーラインはトップ当選者の得票数によっても違ってくるが、9000票台が安全圏となりそうだ。

  今度の選挙戦で当落を左右するのは約3万1000人の有権者を抱える大曲地域と約1万9000人の美郷町の浮動票。投票率80%と見ても大曲地域では2万4800票の大票田。美郷町も80%の投票率だとすると1万5200票がある。届出順に情勢を展望したい。

  自民党公認で4期連続当選を目指す大野忠右エ門氏(69)は、北長野に構えた選挙事務所で30日、約300人の支持者を集めて出陣式を行った。大野氏が地盤とする中仙地域は有権者約9600人と多く、80%の投票率と見ても7600票はある。当選してからの過去4回の選挙戦では地元で常に半数以上を抑え、5000票前後の票固めをしてきた。そして西仙北、南外、太田、美郷町六郷、仙南地域でも票の上積みを果たした。今度の選挙戦で大野氏にとって痛いのは区割変更で仙北市を失ったこと。合併前の旧角館町、田沢湖町、西木村の3町村合わせて大野氏は1200票から1900票を獲得し、当選へのエネルギーにもなっていた。仙北市を失った分、大曲地域で挽回したいと出身校である横手工業高校の同級生をつてに建設業など保守系支持者への浸透を図っている。

  34歳で旧社会党から県議選に初挑戦、以後連続6期当選を果たしてきた社民党公認の佐々木長秀氏(58)は7期目の当選を目指す。刈和野に設けた選挙事務所で約200人の支持者を集めて30日、第一声を放った。佐々木氏の地盤である西仙北地域の有権者数は約8800人。80%の投票率とすると約7000票となる。前回03年4月の県議選では地元からの対立候補はなく、約70%の得票率で4773票を基礎票に協和、神岡地域でそれぞれ約2400票、約1600票と健闘。さらに仙北市を含めた仙北郡全体で革新系の支持を得て1万2588票で3位当選を果たしている。佐々木氏にとっても今度の選挙戦での痛みは仙北市での票を失ったことだ。前回は旧西木村から新人の門脇光浩氏が出馬し、そのあおりで大幅に票を落とし800票台だったが、それ以前は1500票前後の支持者があった。仙北市で失った分を大曲地域で上乗せしたいと大曲地域にも事務所を構えた。そして大曲地域では小山誠治、藤井春雄の両市議、さらに仙北地域の佐藤隆盛市議も懸命にバックアップ。労組票を中心とした革新系支持者への浸透を図っている。ムードは上向きだが、懸念材料も抱えている。地盤を同じくする元西仙北町長の小松隆明氏と原幸子氏の出馬であり、地元での目減りをどうくい止めるかだ。

  元太田町長で自民党公認の新人・高貝久遠氏(60)は太田総合支所前の選挙事務所で30日、約500人の支持者を動員して必勝を期した。昨年の早い時期から出馬に向けて準備を進め、8月には自民党県連が小松氏と共に党本部に公認推薦していた。町長を3期努めた知名度や田沢疏水土地改良区理事長などの経歴もあり、農政のベテランとして期待を持たれている。太田地域の有権者数は約6200人で、投票率を80%とすると約4900票。「地元で3000から3500票取れていいところ」と点数の少なさから、危機感を持って今度の県議選に臨んできた。そして出身校の大曲農業高校時代の同期生らの組織、さらに御法川信英衆院議員の後援会長としてのネットワークもあり、選挙区全域での集票に力を入れる。大曲地域でも個人的な支持者や友人が多く、手応えを感じている。

  元西仙北町長で自民党公認の新人・小松隆明氏(59)は刈和野の自宅前に構えた選挙事務所前で30日、約500人の支持者を集めて必勝を祈願した。今度の選挙戦、小松氏にとって環境は厳しい。投票率80%とすると約7000票を巡って、現職の佐々木氏と準地元とする新人・原氏と実質、三つどもえの戦いが強いられる。保守系支持者の多い西仙北地域。かつて自民党から出馬した候補は佐々木氏を抑え、60%の得票率を記録している。今回も元町長という知名度から地元で仮に60%の得票率となっても約4200票しかない。隣接する協和、神岡、南外の西部地域で票を獲得し、大曲地域での上乗せに懸かっている。大曲地域では栗林次美市長の支持者の一部も支援。個人的なつながりをつてに票の掘り起こしに懸命だ。3日の大仙市役所前での街宣では、地元の大手建設会社の社員が出迎え、エールを送るなど厳しさの中にも明るい展望も。

  共産党公認の新人・泉美和子氏(52)は美郷町議とし、さらに旧六郷町議5期の経験から美郷町での知名度は高い。昨年12月の出馬表明以来、六郷地区で朝立ち宣伝としてマイクを握り、「県民の暮らしと福祉を応援する県政にしたい」と訴えてきた。美郷町の有権者数は約1万9000人で、投票率80%とすると約1万5000票はある。同町からは無所属で元職の樽川隆氏も出馬している。実質この2人の争いだが、大仙市地域からも8人の陣営が入れかわり立ちかわり、攻め入って票の獲得を展開している。1日に20回程度の街頭演説をこなし、精力的に党勢拡大を図っている。

  無所属現の渡部英治氏(57)は30日、大曲田町に構えた選挙事務所で約250人の支持者を集めて第一声をぶった。区割変更で初めて迎える県議選。しかも4年前の前回、市議から転向した初の県議選は無投票だっただけに、今度の県議選でどのくらいの支持者がいるのかは〃未知数〃というのが現実。市議選時代は1000票台の得票で強さを発揮したが、県議選はその9倍から10倍の上積みが求められる。当初は大仙市全体に目配りした運動を展開したが、選挙中盤から地元・大曲地域に重点を入れ出した。大曲地域は投票率80%とすると約2万5000票。3日には参院議員の鈴木陽悦氏、この夏の参院選に出馬を目指す元秋田放送アナウンサー松浦大悟氏も応援に駆けつけ大曲駅前などで街頭演説をこなした。地元・大曲地域で何とか8000票以上は獲得し、当選圏を目指したいと陣営も懸命だ。労組の支援も力が入ってきた。

  自民党推薦の新人・原幸子氏(36)は30日、板見内の選挙事務所で約150人の支持者を集め、「がん医療の地域格差をなくしたい」と涙の第一声を訴えた。後援会事務所を構えて以来、朝夕毎日、街頭でのあいさつ活動や仙北組合総合病院前でのビラ配りなど地道な努力を積み重ねてきた。女性候補であり、がんに倒れた故・原盛一県議の長女としての出馬表明は〃台風の目〃として注目された。地盤である仙北地域は投票率80%と計算しても約5300票。父の原氏は同地域で前回、得票率63%の約3400票を獲得。そして太田地域や美郷町で強さを発揮し、当選を果たした。選挙カーの看板には父の顔写真と自分の写真を並べ、同情票の掘り起こしにも力を入れているが、父の後援会が解散してからの出馬表明だったため、組織の後押しが弱い。同時に自民党公認候補が現職を含め4人。保守系支持基盤で厚い壁との戦いを強いられている。

  元職で無所属の樽川隆氏(65)は美郷町土崎の選挙事務所で約350人の支持者を集めて、〃捲土重来〃の選挙戦を宣言した。投票率80%から計算しても美郷町は約1万5000票。仙北郡選挙区時代なら旧六郷町、千畑町、仙南村は草刈り場で、地元・千畑から樽川氏が出ても旧3町村合わせても得票率は44%、約6000票だった。今回は美郷町を代表する県議候補、知事与党として松田知巳町長も応援、まとまり始めた。半数の得票率でも7500票。当選圏を目指せる基礎票を美郷町で稼ぎたい。ただ、地元の泉氏の動向が気になると陣営。

  過去2度の大曲市長選で落選、大仙市議に上位当選して今度は県議選へと転向した自民党公認の新人・石塚柏氏。花館に構えた選挙事務所では30日、約200人の支持者を前に必勝を誓った。せっかく手にした市議の座を投げ出したことへの反発もあったが、今期限りで引退を表明した自民党・辻久男県議が「後継者として頼む」と選挙本番に入ってから一体となって活動。選挙前の個人演説会を知らせるポスターは大仙市・美郷町全域に一斉に張り出されるという勢いはあったが、選挙戦が始まってからは地元・大曲地域に密着しての戦いに重点を置いている。大曲地域だけでの票で当選圏を目指したいが、他陣営の切り込みも日増しに激しくなっている。しかも、渡部氏の後を追う状態だけに予断は許されない。

  無所属・新人の鈴木隆太郎氏(58)は今月2日になっての出馬表明。太田町の自宅前にある長田湯伝児童館を事務所に借りての30日の出陣式に集まったのは10人に満たなかった。「高齢者が安心して入れるような賃貸住宅の普及で地域の活性化、雇用の場の確保につなげたい」などと訴え、独自の戦いを展開。3日夜から6日夜まで広域交流センター研修室を借りて個人演説会を開いている。