グランプリはピアノの伊東さんへ
800人の音楽ファンに多くの感動を与える(1月7日・日)
第19回大仙市大曲新人音楽祭コンクール(主催=大仙市、同市教育委員会)は7日、大曲市民会館で優秀者演奏会(本選)が行われた。本選には6日の演奏で予選をくぐり抜けた16人が出場。審査の結果、グランプリ(副賞30万円)にはピアノ部門でバルトークの「ハンガリー農民歌による即興曲op.20」を演奏した伊東陽(あきら)さん(25)に輝いた。伊東さんは仙台市出身で、東京音楽大学大学院を卒業、現在はドイツ・フランクフルト音大に留学中。「まさか頂けるとは思ってなかった」と驚きながらも、「初めてのコンクール出場だったが、たくさんのお客さんなので気持ちを込めて演奏できました」と感想を述べた。ドイツでの留学を終えた後は、仙台市を拠点にピアニストとして演奏活動したいと夢を語った。
コンクールには64人のエントリーがあったが、ピアノ、弦・管・打楽器、そして声楽の3部門に最終的に60人が出場、熱演、熱唱が展開され16組(18人)が予選をくぐり抜けた。そしてこの日の本選となった。強い横殴りの雨風が吹く最悪の天候だったが、会館には次々と聴衆が訪れ、約800人のファンで埋まった。
演奏はピアノ、弦・管・打楽器、そして声楽の順で行われた。ぴーんと張りつめたホールで、出演者たちは自分の音を出し、心を伝えようと若手音楽家らしい情感タップリに演奏し、歌った。その演奏が終わると会場からは感動と励ましの拍手が沸き上がり、ステージとホールが一体となって〃音楽〃を楽しんでいた。
新人の演奏会が終わった後は昨年の18回大会で、グランプリを受賞した黒岩悠(はるか)さん(28)が登場し、記念演奏を聴かせた。黒岩さんは現在、イタリア若手演奏家アソシェーション会員として活躍、そのイタリアから駆けつけての演奏だった。
表彰式では6人の審査員を代表して声楽家の松本美和子さんが「若い人たちの演奏する技術はとても発達しているが、このごろ感じるのは聴いていてもただ、音を出すだけで心が伝わって来ない、無味乾燥な演奏だと思うようになった」と手厳しかった。松本さんはその原因を「パソコンの普及で、世の中が余りにも便利に成り過ぎたせいかもしれない」と述べ、「音楽は国境を超えて、心に感動を与えるものだ。そのためにもドイツ文学やフランス文学、ロシア文学など多くの本を読み、絵や映画もたくさん観て、音楽のテクニックを磨くだけでなく、心に栄養をつけてほしい」と注文をつけた。
最後に栗林次美市長が出場者に「素晴らしい演奏をありがとう」と礼を述べ、さらに審査員、実行委員会、ボランティア、聴衆にも感謝の言葉を伝え、「手作りの音楽祭コンクールだが、出演者の皆さんには音楽界で大きく羽ばたいてくれることを期待したい」と締めくくった。
グランプリ以外の入賞者は次の通り。
◇優秀賞(副賞10万円)=小島光博(広島県出身、トランペット)、小黒三佳代(東京都出身、声楽)
◇奨励賞(副賞5万円)=山形佑輔(仙台市出身、ピアノ)、鈴木菜穂子=代表=(横手市出身、弦・管・打楽器、松井直之、田中葵)、三村卓也(東京都出身・声楽)