動物写真家・岩合さんが審査と講演
山形新幹線「大曲」への延伸促進を狙いに企画(1月22日・月)
横手市の横手セントラルホテルで20日、山形新幹線「大曲」延伸促進奥羽南線沿線フォトコンテストの表彰式と新春講演会があった。山形新幹線延伸早期実現期成同盟会(会長・鈴木俊夫湯沢市長)などの主催で、奥羽本線の利活用を図ろうと山形県天童市からJR大曲駅までの沿線市町村の四季折々の自然や文化、名所旧跡、祭りなどの作品を募集、それを審査した動物写真家の岩合光昭さんが「地球に生きる大自然へのまなざし」と題して講演したもの。
フォトコンテストには遠くは神奈川県や千葉県、そして10歳から82歳まで幅広い層から206点の応募があった。その中から最優秀賞、優秀賞、特選など入選作品29点が選ばれ、会場に展示された。表彰式には200人を超すファンが訪れ、入選作を観賞し、岩合さんの話に耳を傾けた。
鈴木湯沢市長は「山形新幹線の大曲駅までの延伸の早期実現に向けてこれまで総決起大会やフォーラムなどを開催してきたが、在来線の利活用を図ろうと幅広い観点から昨年に続いてフォトコンテストを開催した。多くの応募があり、目的達成に向けた効果はあったと確信している。21世紀は環境の社会。地球、自然環境を守り、次世代につないでいくことが大切。その意味でも環境に優しい高速鉄道の整備は必要だ。山形新幹線の大曲駅への延伸に向けて息の長い運動をこれからも進めたい」とあいさつした。そしてフォトコンテスト入賞者を表彰した後、岩合さんが講演した。
岩合さんは1950年、東京生れ。大学卒業後、フリーの写真家として地球上のあらゆる地域を訪れ、野生動物や大自然を撮り続け、タンザニア・セレンゲティ国立公園に滞在して撮影した「おきて」は世界的なベストセラーとなった。
「ニッポンの犬」「ちょうっとネコぼけ」などの写真集も出している岩合さんは作品をスライド上映しながら語った。ネコが大きなアクビをしている写真や鼻から垂らした水が丸く膨らんでいる様子や小犬とネコとのツーショットなどがスクリーンの映し出されると会場からはその見事なシャッターチャンスに「オーッ」と驚きの声も。「ネコのアクビは遊び疲れて寝たのをかわいそうだけど揺り起こして撮ったんですよ」と語った。柴犬を主人公に富士山と満開のサクラを背景にした写真も登場した。
ガラパゴス諸島で写した巨大なゾウガメ、南極で撮ったペンギンの群れ。グリーランドでの美しい夜明けの写真。アフリカで写したシマウマの群れや狩りをするライオン、クロサイ、チーターの親子、オーストラリアでのカンガルーやユーカリの森で写したコアラ、海から飛び出すクジラ、竹林の中にひそむパンダの親子、長野県で温泉に浸かるサル、零下48度の厳しい寒さで捉えたホッキョクグマの親子など地球上に生きる様々な動物が次々と映し出される。
岩合さんは南極ではブリザードに3週間も閉じ込められた話や飲み水を得るため雪をスコップで掘ってバケツに入れ、それを解かしてお茶を飲もうとしたら「ペンギンの羽が一杯に入っていた」「ライオンは百獣の王と言われるが、シマウマを追って蹴られて死んでしまうのもいる」「コアラを撮りたいと森の中を1時間も歩いた。やっと見つけたというより、コアラの方が警戒して出て来なかっただけだ。動物はこちらが緊張感を持つと相手にもそれが伝わる。被写体を怖いと思うと、向こうも怖がる。動物は相手を観て、安心していい相手か、警戒すべきか相手かと判断する。だから、自分の感覚が被写体にのめり込んでいくようにしている」など動物撮影のコツを語った。また「餌づけされたサルと自然のままで生きているサルとは表情も違う」「地球温暖化でカナダでは氷の解けるスピードも早まった。氷がなくなるとアザラシは子どもを生めなくなり、ホッキョクグマも巣を作れない」と温暖化を心配し、カメラマンとしてのマナーは「どこへ撮影に行ってもゴミは残さないことだ」と語っていた。
岩合さんの動物写真の多くは光を巧みに使い、逆光撮影で被写体を立体的に浮かび上がらせる。構図にもスキがない。「写真は記録だが、構図も大事だ」と岩合さん。飛んでいる鳥のスピード感、草原の中のライオンの親子、目をつり上げ威嚇するオスライオンの顔などスクリーンに映し出される動物の生態には迫力と美しさ、厳しさがあった。
審査の結果、最優秀賞には朝霧の中、十文字の皆瀬川でハクチョウと太陽を組み合わせて写した横手市の高橋信雄さんの「朝霧の詩」が選ばれた。優秀賞以下は次の通りで、作品は4月以降、沿線の市町村に展示される。
◇優秀賞=佐藤和博(秋田市)、菊子一男(湯沢市)
◇特選=根芝一夫(茨城県古河市)、高橋寿(湯沢市)、猪野繁明(千葉市)、鈴木リツ(大仙市)、利部長樹(秋田市)
◇入選=寺田芳雄(横手市)、高橋浩幸(山形県真室川市)、阿部隆(横手市)、関口晴子(秋田市)、本間公淳(横手市)、熊谷利昭(仙台市)、照井作太郎(湯沢市)、佐々木忠雄(大仙市)、戸沢良治(美郷町)、五十嵐邦彦(横手市)
◇佳作=吉川繁実(横手市)、佐藤潔(山形県天童市)、佐藤武司(横手市)、高橋祐司(湯沢市)、熊谷直紀(大仙市)、見上一(横手市)、柴田功記(秋田市)、五十嵐敏紀(横手市)、加藤悦子(秋田市)、杉本昭一(湯沢市)
◇特別賞=高橋康子(仙台市)