定数5に現職、新人、元の9人が出馬へ
混戦のカギを握る大票田の大曲地域、美郷町(1月24日・水)
県議選は3月30日告示、4月8日の投開票と決まった。市町村合併で県議選の区割も変更され、今回から初の大仙市・仙北郡(美郷町)選挙区と仙北市選挙区で実施される。大仙市・仙北郡選挙区は定数5、一方の仙北市選挙区は定数1。これに対して大仙市・仙北郡選挙区では現職3人に新人5人と元1人が出馬するという大混戦の様相だ。一方の仙北市は自民党現職の安杖正義氏(61)=角館町=が昨年7月に引退表明したものの、その後任が決まらないままで、立候補を予定しているのは無所属で現職の門脇光浩氏(46)=西木町=だけ。夏には参院選もあり、自民党関係者は必死で安杖氏の後継者の模索を続けている。取りあえず、激戦区となる大仙市・仙北郡選挙区の様相を展望したい。
現職で立候補が確実なのは自民党の大野忠右エ門氏(68)=長野=、社民党の佐々木長秀氏(58)=木原田=、それに無所属の渡部英治氏(57)=大曲田町=の3人。そして自民党公認の新人として大仙市議の石塚柏氏(59)=泉町=、元西仙北町長の小松隆明氏(59)=刈和野=、元太田町長の高貝久遠氏(59)=築地古館=、それに旧仙北郡選挙区選出の自民党・原盛一県議(故人)の長女として後藤幸子氏(36)=刈和野=が自民党推薦候補として出馬する。さらに元職の樽川隆氏(65)=土崎=が無所属からの復帰を目指しており、共産党も美郷町議の泉美和子氏(52)=六郷=の擁立を決めた。以下、敬称略。
大仙市・仙北郡選挙区の有権者数は昨年12月2日現在で9万8386人。うち大仙市は7万9131人で、美郷町は1万9255人。2年前の大仙市議選を参考に投票率を仮に83%で計算すると8万1660票となり、それを9人で奪い合うことになる。9人が拮抗した場合、1人平均約9073票となるから当落のボーダーラインはやはり1万票台となりそうだ。しかも、当落のカギは有権者数3万1000人を超える大曲地域と美郷町が握っているといえる。
今度の選挙戦、各候補に共通した課題は過去のデーターがあてにならず、白紙からのスタートという点だ。旧仙北郡を地盤としていた大野、佐々木は仙北市旧3町村の有権者を失った。その穴埋めを大曲地域に求めたい。一方の渡部は前回、無投票だっただけに大曲地域での実際の票数が読めない。さらに郡部での知名度は低い。石塚も過去2回、大曲市長選に出馬し、1回目は善戦し1万票を超えたものの2回目の三つどもえの市長選では約6100票にとどまった。
それでも大曲地域を地盤とする渡部、石塚の両陣営は約3万1000票、投票率を仮に83%としても約2万5000票を分け合うと当選は可能だ。だが、先の大仙市議選の結果、中心市街地から約16%の票が郡部から出馬した市議候補へ流れた。中心市街地の住民はそれだけ郡部から移り住んだ人が多いことを裏付ける。それだけに今度の選挙戦、各候補とも大曲地域へと足を伸ばし、浮動票を獲得したい。
このため、佐々木と小松は大曲地域にも後援会事務所(連絡所)を設け、活動の拠点としている。一方の高貝は過去の太田町長としての実績で約6000票ある地元の半数以上を固め、そこを拠点に田沢疎水や出身校の大曲農業高校同期生らの人脈を通じて手堅く組織を広げている。佐々木と小松は共に西仙北地域在住。西仙北地域の有権者は約8000人。社民党と自民党に分かれるが、佐々木は過去にも同じ地盤で自民党現職と争った時、地元から約3割の票を獲得するなど堅い支持者を持っている。大曲地域では社民党系市議2人が支持者の掘り起こしに懸命だ。一方の小松は元西仙北町長としての知名度で地元の保守系支持者を固め、周辺の地域にも浸透しだしている。大曲地域では、友人や栗林次美後援会の一部が後押ししている。この後援会組織は今度の県議選で、渡部支持者と佐々木支持者、そして小松と複雑に入り組んでいる。連合も今度の県議選では渡部、佐々木、樽川を支持している。
大野が地盤とする中仙地域の有権者は約9600人。1995年の初当選以来、地元票の7割前後は固め、仙北、太田地域、それに美郷町でも票を上積みして3期連続当選を飾ってきた。しかし、今度の選挙戦では仙北市の1000票を上回る票を失う。それを大曲地域で補いたいと出身校の横手工業高校OBらで組織した後援会を通じて浸透を図っている。
新人の後藤(旧姓・原)は父の地盤である仙北地域を中心に票の掘り起こしに懸命だ。自民党公認ではなく「推薦」のため、ポスターの掲示も見られないうえ、父の後援会組織も解散したため、有力な地元市議らの支えもない。仙北地域の有権者は約6700人。表面上は孤立した戦いだが、他陣営は「最も分からない候補だ。しかも女性であり、本番でマイクを握り出したら爆発するのではないか。台風の目だ」と警戒する。
元職の樽川は主な戦場を美郷町だとして、地元中心の支持者固めに懸命だ。同町だけで1万9000人を超える有権者がいる。同じ地盤から共産党の泉も出馬するが、「これで返って組織が引き締まった」と樽川。大仙市を地盤とする候補者も支持者掘り起こしに懸命に同町へと出入りしているが、何とかくい止めたいと必死だ。
渡部は21日の新春の集いでは約300人の支持者を集めるなど次第に組織力を発揮している。旧町村ではまだ点の戦いだが、美郷町にも積極的に足を運び、熱心な支持者も出てきた。石塚は選挙事務所開きの段階ではまだ組織も固まっていなかったが、自民党公認でもあり、最終的には大曲地域を代表する県議として送り出したいとする追い風を吹かせたいとあいさつ回りに懸命だ。
泉は元六郷町議、そして現在は美郷町議として堅い支持者がいる。しかし、大仙市での支持者は党員とその関係者にとどまる。12月26日の出馬表明記者会見以降は同党の佐藤文子大仙市議の案内で同市内を精力的に歩き、「主婦の立場から県民の暮らしを応援する候補」として顔と名前を売り込んでいる。