自然災害をテーマに秋大教授が講演
防災設備に100%安全なものはないと警告(1月31日・水)
雄物川上中流改修整備促進期成同盟会(会長・栗林次美大仙市長)主催の「第1回防災講演会」が30日、大仙市の中央公民館で開かれた。「自然災害に関する知識の普及と啓発」と題して秋田大学工学資源学部土木環境工学科の松冨英夫教授が講演したもので、建設業界の関係者や一般市民約300人が聴講した。
講演会で栗林市長は「この講演会は平成11年度から昨年度まで湯沢河川国道事務所が地域づくり公開講座として開催してきたが、今年度から雄物川上中流改修整備促進期成同盟会の主催で、地域振興や活性化、地域整備といった観点から開くことになった。今回の講演が防災対応やまちづくりの一助になればと考えている」とあいさつした。さらに国交省湯沢河川国道事務所の貴名功二所長が「防災はハード事業の整備だけでなく、水防や避難訓練などソフト対策を併せないとうまくいかない」と述べながら、国交省としては「洪水に備え、迅速な情報を伝達できるように努力したい」とあいさつし、同事務所の雄物川上流の水害への取り組みを説明した。
講師の松冨教授は津波をテーマに沿岸や陸上での津波の挙動と波力、漂流物の衝突力、植生減勢力、さらにダムや河川堤防などの決壊による氾濫流の解析などを研究している。講演では「自然災害は完全に防ぐことはできないが、正しい知識と適切な対応で減災することは可能だ」と洪水と津波を取り上げた。そして松冨教授は1900年から2006年までの年間雨量をデーターで示し、「年間の総雨量は減ってきているが、強く降る雨が多くなって洪水の危険性が高まる一方で渇水も多くなっている」と温暖化による気象の変化を警告した。
そして「ダムは大切な構造物だが、一方で自然環境にも影響を及ぼす」と述べた。また新潟や福島などで起きた水害やスマトラでの津波被害の例を写真で示しながら、鉄筋の建物は堤防決壊による水流でも小破に止まるが、木造は大破してしまうことや水害による漂流物も建物に大きな被害を与えること、一方で植生している樹木の密度も水害の破壊力を弱める効果があることなどを語った。さらに明治29年と昭和8年に発生した岩手県三陸沿岸の津波を例に「人命の被害は人の対応で違ってくる」と時間と費用はかかるが防災施設や防災計画、そして家庭や地域、学校、社会での教育など総合的に取り組む必要があると訴えた。
最後に1953年(昭和28年)から69年(同44年)にかけて行われた雄物川改修事業「大曲捷水路」は超過洪水を考慮した総合的な対応だが「100%安全だとは思わないでもらいたい」と防災施設などに「完全」はないことを強調していた。