第21回参院選が12日公示され、本県選挙区(改選数1)では自民党現職で3選を目指す金田勝年氏(57)=公明党推薦=、無所属新人で元アナウンサーの松浦大悟氏(37)=民主、社民両党推薦=、共産党新人で党県青年学生部長の鈴木知氏(30)が立候補し、年金記録不備問題や政治とカネ、格差社会、そして安倍政権の信任をも問う17日間の本格的な論戦が始まった。投開票日は29日。各候補者は支持者を求めて一斉に県内各地を走り始めた。候補者の動きをルポしたい。
自信と誇りの持てる故郷へ
3期目目指し、ひたすら訴える(7月13日・金)
13日朝、金田氏は仙北市田沢湖から運動を始めた。「皆さまの力で今度も勝年を、今度も金田勝年をお願いします」。ウグイス嬢はマイクを握ると3期目を目指そうとする金田氏の継続を有権者に訴えた。応援弁士として同行する御法川信英代議士も「3期目は必ず大臣になる。もしかすれば秋田県の政治家として初めて外務大臣になるかもしれない」と外務副大臣を務めた金田氏の実績を持ち上げた。
今度の参院選、政権与党である自民党には年金問題だけでなく、事務所費問題を巡っての大臣の失職や自殺、そして原爆投下への「しょうがない」発言など、スキャンダルが重なった。そのダメージが自民党への逆風となって吹き荒れている。それだけに金田氏を支えようとする保守系陣営は危機感を募らせ、選挙カーも一人ひとりの有権者を大事にしたいと予定外の時間をかけてあいさつするため、遅れがちだ。
仙北市角館庁舎。金田氏の選挙カーが来るのは午前9時半の予定だったが、すでに30分遅れ。待ち受けた保守系市議らは「角館町での滞在時間はわずか1時間。全県相手の選挙だけに余裕のないのは分かるが、逆風ムードの中で金田さんがこの町に来たという印象を1時間で残すのは無理だ」とぼやいた。
選挙カーは同行している自民党の大野忠右エ門県議会議長や小松隆明県議、原幸子県議の名前を挙げ、遅れたお詫びをしながら庁舎前に車を止めた。庁舎前には市職員や住民ら約50人が出て、石黒直次市長が「地域の声を中央に届けてもらうためにも金田さんには頑張ってもらわなければならない」とエールを送った。見守るように3月に自民党に復帰した村岡
敏英氏の姿もあった。
半袖シャツにベスト姿の金田氏はその間、集まった聴衆一人ひとりと握手を交わし「よろしくお願いします」と頭を下げた。マイクを握ると「全国には720人の国会議員がいる。その中で秋田では6人しかおらず、その1人が今回改選される。年金、医療、福祉の問題など解決しなければならない課題が山積している。立候補している3人のうち2人は好青年だが、私より発言力と実行力があるのならいつでも2人に譲っても良い。しかし、2人には行政経験も政治家としての実績もない」と選択を求めた。
わずか15分ほどの滞在で選挙カーは角館町の中心商店街へ。金田氏は少しでも票につなげたいと車から降り、歩いて握手作戦。後を追うように御法川代議士も歩き、笑顔を振りまきながら商店街の住民へ支持を訴えた。
その後、選挙カーは国道105号をひたすらに走り、大仙市中仙の道の駅で運動が引き継がれた。ウグイス嬢はすれ違う車のドライバーにも盛んに「カネダ」の名前を連呼し、浸透を図ろうとするが、ライトを点滅させる反応は少ない。
車は10時45分、大曲入りし、JA秋田おばこ本部前で同農協職員や周辺企業の従業員ら100人を超す支持者らの出迎えを受け、やっとムードも上昇。そして大仙市役所前や美郷町役場前でもマイクを握った。松田知己美郷町長は「今度の選挙戦、風や政党で選ぶのではない。秋田のために働いてもらう人を選ぶのであり、金田さんしかいない」と持ち上げ、拍手が沸いた。
同町では昼休み中の従業員が総出で迎える企業もあったが、横手市へと引き継いだ運動員の一人は「今日は先を急ぐ余り国道ばかりを走っており、浸透するかどうか心配だ」と本音を漏らした。しかし、午後からの横手市役所前での第一声では100人を超す支持者が集まり、勢いづけた。「合併したおかげで横手市は自分の故郷となった」と県南で過ごしたこともある金田氏。「魅力ある故郷、住みよい故郷、自信と誇りを持って、子と孫に囲まれて幸せな老後を過ごせる優しい秋田をつくり、その秋田の土になるためにも力の限り尽くしたい」と声を張り上げた。