三遊亭鳳楽師匠
名調子の落語3題で会場は笑いの渦(6月2日・土)
出羽鶴酒造株式会社(伊藤辰郎社長)=大仙市南外=主催の「第4回出羽鶴『ほろ酔い寄席』落語と日本酒を楽しむ会」が1日夕、同社の米蔵で開かれた。今回も三遊亭鳳楽師匠が登場、「牛ほめ」と「祝い熨斗(のし)」、それに「寝床」の3題を演じ、会場を埋めた約120人の聴衆を笑いの渦とさせた。
鳳楽師匠は5代目三遊亭円楽の総領弟子。押しも押されぬ落語界の本格派として評価が高く、もちネタは約300題もあり、演じるネタの完成度が神髄。1977年に第6回NHK新人落語コンクール最優秀賞を受賞、78年には日刊飛び切り落語会若手落語家奨励賞を受賞、93年には文化庁芸術祭賞に輝いている。
鳳楽師匠を迎えた伊藤社長は「師匠は古典落語を語らせればナンバーワンという名声を博している。持ちネタも300以上あり、今日はどんな演し物なのか楽しみだ。この日のために皆さんにユックリと落語を楽しんでもらいたいと米蔵も改装した」と歓迎のあいさつ。
三味線と太鼓、笛の寄席囃子で高座に登場した鳳楽師匠はおっとりとした笑顔で「今日はどういうお客さまがお出でになるか。全員男の人か。全員女の人かしら。あるいは若い方が多いかしら。ご年配の方が多いかしら。いろんなことを考えて、今日はこれをやろうと決めるわけなんですよね」と粋な調子で語り始めた。そして「若い人が多いならこれをやろう。全員、お年寄りばかりだと、どこの〃焼き場〃が安いとか」とまずは爆笑を誘った。
そして出羽鶴へと来るために乗った飛行機にかつての大横綱・大鵬親方と一緒だったことを紹介しながら、大相撲を話題に「相撲取りが強くなるためには稽古が一筋だ。貴乃花なんかは朝から稽古一筋だった。だから奥さんも〃ケイコ〃」と笑いを誘う。
そして落語界のエースである「与太郎」を登場させ、「この人は私も好きな人物で、バカだか、利口だか、人をからかっているのか、本気なのか、冗談なのか何だか分からないが、与太郎という名前が何だか愛嬌がある」と本題に入り始めた。
落語を聴いていると不思議な気分になる。1円とか50銭とか遠い昔のお金の勘定の仕方が登場し、さらには長屋、おかみさん、ご隠居も登場する。しかし、鳳楽師匠の話の粋さは本題に入る前の流れが何とも言えない。
家主の息子への嫁入りを祝う「熨斗」では最近の「出来ちゃった婚」の多さを話題に鳳楽師匠自身が結婚式の司会を頼まれた際、緊張の余り「ただいまから新郎、妊婦(新婦)のご入場です」と言ってしまったと会場を沸かせた。さらには父親が感謝の言葉を述べる際には「誠にふつつかな娘」という所を「誠にふしだらな娘でございますが」と口を滑らせ、「これこそ疲労(披露)宴だった」と笑いを誘った。
そして腹を空かせた〃だんな〃が「まんま食いてぃ」と帰宅する本題の「祝い熨斗」に入った。「腹が減った」とご飯を妻に注文すると「おまんま切れてるの」、「炊いてくれよ」、「お米が切れてるの」、「買ってくりゃいいじゃないか」と詰め寄ると「お足が切れてるの」と妻。あきれただんなが「みんな切れてるじゃないか。なんか切れないのがないのか」と聞くと「包丁が切れないの」と言い切る。
言葉のやりとりの名調子。さらには忘れていたことわざもポンポン飛び出す。休憩を挟んだ1時間半の寄席は退屈という言葉を忘れさせる充実した時間だった。寄席の後は鳳楽師匠を囲んでの日本酒を楽しむ会となり、出羽鶴の銘酒が次々とテーブルに運ばれ、寄席客は酒と料理、そして鳳楽師匠の色紙が当たる抽選などを心ゆくまで楽しんだ。