小学生対象に啓発授業
車いす生活や妊婦体験で大変さ、実感(11月9日・金)
仙北まるごとバリアフリー実行委員会では9日、大仙市太田町国見の太田北小学校(菊地清志校長・児童数64人)の3年生7人と4年生15人を対象にバリアフリー社会形成のための啓発授業を行った。子どもたちは電動の車いすで生活している障害者や盲導犬の手助けを受けて生活している視覚障害者の話を聞いたり、妊婦や高齢者体験をしながら、バリアフリー社会づくりへの理解を深めた。
同実行委員会はNPO法人障がい者自立生活センター「ほっと大仙」の事務局長の奈良克久さんを委員長に県バリアフリーコーディネーターや障害者団体会員7人で構成され、県仙北地域振興局福祉環境部に事務局が置かれている。
高齢者や障害者が安心して暮らせるバリアフリー社会を形成するには、子どもたちへの啓発活動が大事と、昨年から希望を取って小学校の中・高学年を対象に授業を始めた。
講師は実行委員会のメンバー7人が希望のあった学校の日程に合わせ、それぞれ調整を取って訪問、事務局からも職員が参加して運営を手伝っている。今年度は6回の授業を予定しており、太田北小で5回目だった。
この日は大曲タクシー指定訪問介護事業所の職員でバリアフリーコーディネーターの鈴木幸子さんと、車いすで生活している永代和博さん(美郷町)、それに県視覚障害者福祉協会大仙支部会員の富士村スミ子さん(大曲花園町)が講師を務めた。
3年生を対象にした授業では3人がそれぞれ自己紹介の後、永代さんが講師となって自分の車いすでの生活を語った。18歳の時、車の単独事故で首の骨を折ってしまった永代さんは、首から下は動かせないという重い障害を負って車いすを手放せない生活となって30歳を迎えた。
その永代さんは「車いすには手押し式と電動の2種類がある。自分は体が動かないのであごを使って車いすを動かしてます。これがあるおかげで、どこにでも遊びに行けるし、買い物にも行けます」と語った。
永代さんの乗った車いすにはアームが取り付けられ、そこにあごを使って操作できる様々な道具が取り付けられている。そして口にくわえた棒を使ってパソコンを操作し、携帯電話も口にくわえた棒でふたを開けるなど、アイディアと工夫で道具を作ってもらい、ご飯を食べ、歯を磨いている生活を語った。しかし、入浴やトイレなど手伝ってもらわないと出来ないこともある。「母さん一人に頼っては苦労をかけるので、ヘルパーさんにも来てもらってます」と永代さん。
子どもたちは口にくわえた棒で携帯電話を操作する永代さんを見て「カッコいい」と感動し、「買い物に行っても取れないものがあったらどうするんですか」と質問も。永代さんは「店をぐるっと一回りし、取れないものがあったら母さんか、店の人から取ってもらいます」と答えた。そして「出来ないことがあっても、いろんな道具を工夫すると出来るようになります」と障害に負けず工夫したり、努力することの大切さを訴えていた。
永代さんの話を聞いていた児童は「大変だと思ったけど、いろんな道具を使って工夫しているのがすごい」と感想を述べた。
永代さんの授業の後は、重さ約8キロもある妊婦シュミレーターを体に取り付け、階段を上ったり、和室トイレでしゃがんだり、手を洗う体験も。子どもたちは和室トイレでしゃがむのに大変な思いをしたり、手を洗う時にお腹の赤ちゃんを守るためには工夫をしなければならないことも体験していた。
そして手首と足首に重しを付け、膝も自由に曲がらないようにサポートで抑える高齢者体験も。保健室でベッドから起き上がる体験では、「何でもないよ」と強がっていた子どもたちも「だんだん腕が重くなってきた」と不便さを訴えた。そして「おじいさんやおばあさんたちは、それがずっとなんだよ」と講師たちの話しに大きくうなずいていた。