飼料イネと納豆用の大豆新品種を開発
飼料イネは転作作物に、大豆は機械化へ対応(10月3日・水)
| 飼料イネの新品種を説明する山口サブチーム長。 | 納豆用大豆新品種を説明する湯本サブチーム長。 |
大仙市四ツ屋の独立行政法人農研機構「東北農業研究センター大仙研究拠点」では3日、東北地域向けの早生の飼料イネ新品種「べこごのみ」と、モザイク病、倒伏に強い納豆用の大豆新品種「すずほのか」を開発したと発表した。
べこごのみは、山口誠之・低コスト稲育種研究東北サブチーム長らが研究担当者となって開発した。省力・低コストの直播栽培に適し、既存の早生多収品種より5%以上の多収となり、稲発酵粗飼料として牛の飼料に、さらに飼料米として豚、ニワトリの飼料に利用できるとしている。研究は、農林水産省プロジェクト研究「粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発」予算で実施した。
稲発酵粗飼料は、稲のコメ粒が完熟する前に穂と茎葉を同時に刈り取って発酵させ、サイレージ化した粗飼料。サイレージは漬け物のようなもので、ロール状にした穂や茎葉をフィルムで包み込み、発酵させて作られる。
今回、新品種として開発した飼料イネは、国内の飼料自給率の低さと最近のトウモロコシを中心とした輸入飼料の国際価格急騰の影響もあって、自給飼料の増産が強く求められたことも背景にあったと山口サブチーム長。飼料イネは水田での生産が可能だけに、飼料自給率を高める転作作物として期待されると強調する。
これまで東北地域で栽培できる飼料イネ専用品種は、中晩生の「べこあおば」「夢あおば」があるが、東北地域中北部では熟期がやや遅く、ブランド米の「あきたこまち」など食用品種と収穫時期が競合し、飼料として早く収穫することができなかった。
今回、開発された「べこごのみ」は早生の多収品種「アキヒカリ」より出穂期が4日早く、〃極早生〃に属する品種であり、玄米は中粒で、外観の品質も劣ることから見た目で飼料用として判断できる識別性があるのも特徴だ。
また、倒伏に強く、直播栽培での黄熟期の乾物収量及び単位面積あたりにおける消化吸収可能な粗飼料の収量(TDN収量)は、それぞれ「アキヒカリ」より9%、5%多収だという。
すでに種子生産体制に入っており、来春にはタネの確保は可能という。名前の「べこごのみ」は、東北の方言である「べこ(牛)」が好んで食べる飼料イネであることを表した。
納豆用の大豆新品種「すずほのか」は、湯本節三・大豆育種研究東北サブチーム長(刈和野)らが研究担当者となって開発した。同研究センターが1987年に育成し、東北地域で広く栽培されている納豆専用の極小粒大豆品種「コスズ」の長所である納豆加工適性や極小粒を維持し、栽培上の短所であるダイズモザイク病抵抗性と耐倒伏性を強化した品種という。「今後、『すずほのか』は納豆用大豆の新たな東北ブランドを目指し、『コスズ』の置き換えを中心に普及が期待される」と湯本サブチーム長。
今年から品目横断的経営安定対策が導入されたことから、大豆生産の規模拡大、そして機械化への対応可能な品種が求められていたが、「すずほのか」の成熟期は「コスズ」より1〜2週間ほど早いが、収量は「コスズ」並みであり、茎の長さは「コスズ」より14センチほど短く、倒伏に強いことなどからコンバインでの収穫も可能だと湯本サブチーム長。ただ、ダイズシストセンチュウに弱いため、連作やセンチュウ汚染ほ場での栽培は避ける必要があるとしている。
品種名「すずほのか」は莢(さや)が鈴なりに稔り、稔った大豆が香りかぐわしい納豆になるのを願って命名したという。
両品種についての問い合わせは、東北農業研究センター企画管理部情報広報課(019・643・3414)へ。