二階堂道形の「筑波根日記」を出版
大曲図書館の蔵書、2年がかりで解読(5月13日・火)
大仙市仙北古文書研究会(小田嶋忠雄会長)では江戸時代の著述家・二階堂道形(1765年〜1829年)が著した「筑波根日記」を翻刻し、一冊の本として出版した。
日記は大曲図書館に保存されていたもので、それを解読のテキストにしたいとコピーを譲り受け、会員18人が郷土史研究家の黒澤三郎さん(81)=福田字落合=の指導を受け2年がかりで翻刻した。
二階堂道形は徳川政権誕生と同時に常陸から秋田へと国替えされた佐竹家の隋臣で、大館西家に属していた。著名な紀行家・菅江真澄と同時代の人で「高清水の月」「秋田千年瓦」「小野小町考」「竹陰随筆」など多くの著述があり、秋田における考古学や古代史に先鞭をつけた人と言われる。
筑波根日記は、二階堂道形の先祖の地である常陸(茨城県)を訪ね歩いた時の2年間の旅記録。題名の「筑波」は故郷の「筑波山」にあやかったものらしい。
日記は縦24センチ、横16.5センチの和装で上・中・下の三巻からなっている。本もそれにならって江戸出立、水戸城、西山・義公の墓碑などを記した「上巻」、天神林、佐竹寺縁起、石川久治右衛門問答などからなる「中巻」、鹿島紀行、野州紀行などを著した「下巻」で編集し、あとがきを含め80ページでまとめた。
筑波根日記自序で二階堂は「故郷とは言っても二百年も前、私ども祖先がそれまで代々住み続いた筑波山の麓を訪ねた。それは藩主佐竹様が、かつてこの土地を治められたときの御館の跡をはじめとして、その枝や葉に茂り栄えた遠い親戚や縁故ある人々を、峡地の果てまでも訪ね廻ったのである」(黒澤氏意訳)と記している。
「三巻」の「喜蓮川と二階堂家」の項では「下総対面段々語合ひ候ところ、譜系符節を合わせたるごとく紛無き兄弟の家也、二百年余の事ながら実に兄弟に逢候心地して、暫く在りおもわぬ涙を催候」と感情をあらわにするなど、人と人のつながりの大切さは今も昔も変わらないことを痛感させる。
本は仙北地域振興課と同地域協議会からの「地域づくり活動団体補助金」の支援を受けて100部発行。そして県立図書館、同公文書館、国立国会図書館、そして大仙市内各図書館に配付した。古文書研究会の小田嶋会長は「解読によって当時の風俗や習慣も読み取れ、古文書を学ぶことの奥の深さを知った」と話している。