ヘリコプターで国内初のミネラル液空中散布
ヘリの使用料も液代もぜーんぶ無料ですと農家を説得(7月1日・木)
安全な野菜作りを勧めたい−とミネラル農法普及に取り組んでいる神奈川県秦野市の有限会社・山昌(やましょう)経営の山口好一さん(49)と同社秋田支部営業部長を勤めている三浦正さん(42)はこのほど大曲市で国内初のヘリコプターを使って水田に天然ミネラルイオン濃縮液を試験散布した。試験段階のためヘリの使用料もミネラル液代も無料という条件で農家の許可を得ての散布。実験の結果、米の収穫が10%増となるか、味が良くなり、農薬使用料も減ったという効果を栽培農家が認めたなら、10アール当たり玄米30キロをミネラル代として頂くという物々交換方式。ビジネスにもならないまったくのボランティアだが、二人は「農家の方に認めてもらうにはこの方法しかなかった。でも、これまでの実績から見ても自信はあります」と胸を張る。
山口さんは元々、ヘリコプターのパイロットだったという。ヘリを使って農薬散布する仕事に就いていたが、農薬の危険性を感じ、もっと安全な野菜作り、米作りは出来ないかと身を引いた。そしてミネラルに注目。山昌という会社を経営しながら植物種子を原材料に「天然ミネラルイオン濃縮液SK−1」の発売元となっている三晃株式会社(東京都)に技術部長として勤務し、ミネラル効果を調べた。
その結果、トマトでもイチゴでも、またリンゴ、メロン、大根でもあらゆる野菜、果樹が天然ミネラル液の散布によって糖度が上がり、しかも肥料の三大要素となっているチッソ、リン酸、カリのバランスが崩れることによって生まれる硝酸態窒素の残留度も少なくなることも分かった。硝酸態窒素は食品中に含まれるアミンと反応して強い発ガン性を示す物質として知られている。
山口さんは様々な野菜、果樹で実験を繰り返し、詳細なデーターを取りまとめ、ミネラル農法こそ農薬の使用量も減り、「安全な野菜作りにつながる」と3年前からその普及に努め、ビジネスにつなげてきた。害虫が入らないハウス栽培だとミネラル液を散布するだけで、農薬を全く使わなくても丈夫な野菜が育つことも確認した。1997年には岐阜県で1枚の田んぼを借りて、ミネラルを散布した稲と散布しなかった稲がどう違うかも実験。その結果、ミネラル散布を受けた稲は台風が来てもほとんど倒伏せず、2割の増収につながった。このデーターから「稲作にもミネラル効果は絶対」と自信を持った。
野菜、果樹、お茶などの栽培では次第にミネラル効果も認められ、全国展開されているが、今度は稲作にもミネラル農法を普及させたいと大曲市花館出身でパイロット仲間だった三浦さんに協力を求めた。秋田ならそれこそ“米どころ”の期待も込めて。それにこれまでは地上からの散布だったが、三浦さんは個人でヘリコプターも持っており、それを使ったら初めてミネラル液の空中からの散布も可能だと期待を込めた。5月から二人は県内を駆け回った。大潟村、大館市、能代市も歩いた。しかし、なんら実績のない秋田で農協や農家を回ってミネラル効果を説明しても、「いいものには落とし穴がある」とばかりの扱い。時には悪質な訪問販売のような扱いも受けた。
三浦さんは見知らぬ土地を歩くのをあきらめ、地元に期待をかけた。地元には知り合いの農家もあり、耳を傾けてくれた。そして賛同してくれた市内の農家や神岡町、南外村、仙北町、仙南村の12戸の農家合わせて5.2ヘクタールの田んぼに空中散布をすることにした。条件はヘリコプターもミネラル液も全部、無料ということで。5.2ヘクタールの面積でもヘリによる空中散布ならわずか1時間で済む。空中散布の日、二人は神岡町神宮寺にある三浦さんのヘリポートで風が止むのをジッと待っていた。
「初めてのビジネスは厳しいもんです。どんな商売でも口先だけでは何ともならない。やはり実績を見せてやらないと。今回はお金にはならなくても、農家の人たちがこの秋に収穫してみてミネラル効果があったと認めてくれれば、来年からはビジネスにつながるでしょう」と三浦さん。山口さんもミネラル効果を書いた資料をいっぱい手にしながら、「私はどうも説明の仕方が悪くて、だからこの資料に目を通してもらいたいんです」と苦笑い。渡された資料には「天然ミネラルイオンSK−1によって、北海道では馬鈴薯、大根の硝酸態窒素が『検出値0』になり、農作物の安全性が高まりました。青森では香りとハリのある糖度15〜16もあるリンゴを作り、市場で大人気となりました。山形では色・艶・糖度の高いサクランボが・・・。イチゴ、トマト、カボチャなど全国の果物、野菜が見違えるほど美味しくなりました」とあった。ヘリコプターを使っての空中散布は8月20日まで3回、実施される。秋にはどんな成果が生まれるだろうか。期待される。