大曲市教育委員長に森川さん(角間川町)

民間から28年振りの選出(98・4・21)

 大曲市角間川町で衣料品と酒屋を経営している森川幸雄さん(57)は1991年10月に市教育委員に就任して6年6カ月になる。ニコニコした笑顔で人と接し、その物腰の柔らかい人柄が買われてか、森川さんは万屋(よろずや)のようにとにかくあらゆる会の会長にと押しつけられてきた。現在も30を超す団体の長という肩書を持っている。その森川さんに今度は「大曲市教育委員長」という重責が回って来た。「こればっかりは」と戸惑ったが、7日に開かれた定例教育委員会で森川さんを除く4人の委員全員の指名で就任が決まった。                 

 教育委員会は学校教育はもとより、スポーツ振興、図書館、公民館運営など幅広い市民活動に目配りして、子供たちの健やかな成長と市民の健全な学習活動のご意見番を果たす大切な機関だ。委員長はそのトップに立つ。戦後改革の一環として教育行政の民主化・分権化の実現を目的に設置され、当初は公選制だったが、56年の地方教育行政法で、議会の同意を得て地方公共団体の長が任命する制度に改めた。                                  

 委員は教職経験者を始めとする有識者5人で構成される。その中から選挙によって委員長を選択する。これまで就任した委員長は森川さんで11代目。その多くは教職経験者だった。民間からの選出は少なく、森川さんで5代目。しかも28年振りという。                

 前委員長は元高校長の齊藤養治郎さん(75)=通町=だった。齊藤さん3月22日付で2期8年間の任務を終えて退任。代わって元大曲中学校長の笹元嘉辰さん(61)=花館柳町=が委員に就任した。7日の定例会では、佐藤幸子委員(59)=日の出町=を委員長職務代理者に、そして森川委員、齊藤忠治委員(46)=大町=、鎌田重光教育長(65)=藤木上野中=が出席して、後任人事を話し合った。結局、選挙というより互選という形が選ばれ、指名推薦となった。森川さんを除く4人が一致して、森川さんを後任の委員長に推薦した。               

 「私は商人であり、教育とは一定の距離を置いて見て来た。それだけに重責は果たせないと拒否する積もりだったが」と戸惑いも見せた。しかし、全会一致での推薦。「教育経験は無いが、子供たちとの接触は何よりも好き。なら、教育専門家の立場から考える教育行政ではなく、民間サイドから教育行政を見てみようと決心しました」と森川さん。                  

 就任後初めて開かれた教職員研究集会では先生たちに最近の学校の荒廃を例に挙げ、「事件が起きると校長も先生たちもいじめは知らなかったといい、逆に親たちは先生たちにいじめを防止して欲しいとお願いして来たと平行線をたどる。私は商人で、もうけなければ商いは成り立たない。もうけるという文字は人偏に諸々と書く。これを分析すると信用がなければもうからないということになる。教育も商売も信頼関係が大事だ。学校と地域住民との信頼関係の構築に力を尽くして欲しい」と訴えた。森川さんは「幸いにも大曲市は子供たちのナイフ事件や援助交際、テレクラといった問題はない。本当にありがたい」と胸をなで下ろす。                   

 その柔和な性格がそのまま教育行政にも伝わりそうな雰囲気を持っている。地元の中学校を卒業して秋田高校、早稲田大学を卒業。大手会社に就職するつもりだったが家庭の都合で22歳で家業を継いだ。以来、地元のいろんな世話人会の代表として活躍して来た。今度は教育のトップとしての市教育界を走り回ることになる。