東北は梅雨明け宣言がないまま秋を迎えることになったという。その秋はもう目の前にあった。ススキが銀色の穂を開き、風に揺れていた。稲穂もうっすらと色づいて来た。「これから淋しい秋です」。「涙で文字がにじんでいたなら分かって下さい」。見知らぬ街を歩き、雨に打たれて飛び込んだ喫茶店。レコードが静かに奏でる歌は稲葉晃の声だった。ススキを見ながら随分、昔を思い出していた。写真は大曲市内小友で。