少しの間、草原を歩いた。タンポポの花の季節は終って、白い綿毛の季節となっていた。幻想的な白い光景をぼんやりと眺めた。良く見ると綿毛と綿毛とが手を結び合って小さな宇宙を作っていた。その綿毛の玉は風に吹かれ、新しい小さな生命をあちこちへと飛ばしていた。焼津市の読者から訃報が届いた。93歳の祖母を看病していた読者だった。「大変だったねとみんなに言われたけど、後10日と言われた祖母は19日間も頑張った。私は最後の19日間を毎日、一緒に過ごせたから一番得したような思いです」とその読者からのメールだった。電話をしたが「落ち着いたらまた秋田にお出で」とこちらはそうしか言えなかった。