表紙写真「吊るし柿のある風景」(02・11・4)

  県立農業科学館の曲屋で子どものころ、兄やその仲間たちに自慢しようとよその家の庭にしのび込んで採った柿は渋柿だった。「なんだこりゃ。渋柿だ」。ガリリとかんだ兄もその仲間たちも渋い顔でペッペッと吐き出した。あのころは真っ赤になった柿と言えばみんんな甘いものだと思っていた。兄たちは秋になると栗の実を探しに冒険に歩き、叱られるのを知っていながらよその家の庭にしのび込んだものだった。まだ小さく、逃げ足の遅い自分はいつも垣根の外で見張り役だった。そうした兄とその仲間たちにお礼を込めて採った柿の実だった。家に帰れば母が買っていた熟した甘い柿を食べれるのによそ様の柿やクリを求めた。栗の木は我が家の庭にもあったのになぜかよその家のクリを採りに走ったものだった。渋皮をはいでガリリとかじったクリの実の甘さが思い出される。写真は県立農業科学館の曲屋で。