畑を耕す音、田んぼを耕す音が盛んに聞こえるようになった。子供のころ、父と母は雄物川を渡った向こうの原野に畑を持っていた。畑には渡し船に乗って行った。川は静かに波立ち、岸辺に着くとアシの中でさえずるヨシキリの鳴き声がすごかった。渡し船に乗るのが楽しみで父と母の後を追った。兄と二人で鍬を手に畑を耕す真似をしたが、一つの畝(うね)さえ作れずに終わったような気がする。朝の散歩道となった雄物川の堤防下では今、盛んに畑作りが進められている。懐かしい光景につい立ち止まってしまった。