人には誰にも思い出の地というものがある。そしてその思い出の地を歩くことで生きていることを実感し、思い出の風景に安らぎを覚える。先週、横手市での取材があって思い出の公園を歩いた。まだ、車のなかった遠い昔。妻とバスに乗ってこの公園まで遠出し、良く歩いたものだった。赤い太鼓橋を渡り、バラ園を楽しみ、石坂洋次郎の小説「若い人」の一文を愛唱したものだった。20代だった。二人で60代を迎えるなんて遠い、遠い先のことと思っていたが、その60代を今、迎えようとしている。思い出の地は変わっていなかった。